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業務マネジメント:要件定義について

 障害者を雇用する際に、しばしば発生しがちな誤りがあります。それは、「人に仕事をつける」という状態です。

 企業は持続的な成長が要求され、常に変化する外的環境を踏まえ、柔軟に組織形態を変える必要があります。そのような状態の中、障害者だからといって、障害者に対して仕事をつける(言い換えれば、本来的に仕事でないものを創造する)という状態は、持続的な企業成長においてリスクになります。

 細かい説明は割愛します。では、どのようにすれば、このような状態を防げるのか。それは、業務要件を定義することにほかなりません。

要件定義の利点

 要件定義をおこなうことで、この業務が組織においてどのような目的で運用され、なぜ必要なのか明確になります。具体的に定義できていない場合、組織にインパクトがないタスクになっているリスクがあります。以下に、要件定義に関するポイントをお伝えします。

目的の明確化

 何のためにマニュアルが必要なのか、その目的を明確にします。これにより、マニュアルが意味のあるものになり、組織全体で有用とされる確率が高くなります。

ステークホルダーの特定

 このマニュアルを使用する対象者は誰か、それによって内容や表現方法も変わってきます。

内容の優先順位付け

 すべての情報を盛り込むわけにはいきません。目的に応じて必要な情報を絞り、その優先順位を決めます。

共通の認識

 要件定義が明確であれば、作成過程で関わるすべての人々が共通の認識を持つことができます。

効率的な作成プロセス

 要件が明確な場合、どのようにしてその要件を満たすかのプランニングもスムーズに行えます。

タスクと障がいのフィッティング

 障害者自身の心身状態に対して、タスクや工程が定義されることで、どこが高いハードルなのか明確になります。ハードルは、代替手段をもちいることで解決できる可能性があるため、検討を重ねることで、タスクと人材がフィットしていきます。

更新と改訂の方針

 マニュアルは一度作成したら終わりではありません。更新や改訂が必要なケースが生じたときに、どのように対応するかの方針も初めに考慮しておくと良いでしょう。

評価基準

 要件定義には成功の評価基準も含まれることが多いです。これがあると、後でマニュアルが目的に沿って効果を発揮しているか評価しやすくなります。

 以上のような要素を考慮することで、障害者雇用をより実践的で戦略的なものに変えていくことができます。

投稿者のご紹介

合同会社ReDef・代表社員
兼松勝之介

 医療系国家資格である理学療法士を取得後、大手医療機関でリハビリテーション業務に従事。中途障害者の社会復帰を支援する地域資源に課題を感じ、合同会社ReDefを設立。全国20箇所以上の障害福祉サービス事業の開業・運営監修を経験し、現在は障害者と企業の業務連携促進事業を通じて、企業の本質的な障害者雇用を支援する。