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障害者雇用のための採用プロセスの見直し

 障害者雇用を推進するためには、採用プロセス自体の課題を確認することが大切です。誰しもがアクセシブルで公平なものにする必要があります。以下、そのための具体的なステップを見ていきましょう。

ジョブディスクリプションの再検討

 ジョブディスクリプションは、職務記述書とも言われ、従業員や求職者の職務を打ち出したものです。採用活動では、事前に求職者と可能な範囲で共有することで、その役割が自身に適しているかどうかを1次判断することができます。もちろん、求職者の認識と実際のパフォーマンスが乖離することもあるので、積極的に「業務体験」を実施することが望まれます。

アクセシブルな応募プロセス

 応募プロセスは、求職者が自分の適性を示す最初の機会です。しかし、物理的な制約や情報通信技術の問題により、一部の求職者が十分な機会を得られないことがあります。なるべく応募の障壁を下げることが望まれます。近年はソーシャルメディアを活用したダイレクトリクルーティングなども進んでいることもあるため、まずは形式的な応募の前に、ラフなコミュニケーションを取れるような環境が望ましいと考えます。これらの対応が、結果的に障害者の応募を後押しすることになり、障害者雇用を促進する可能性があります。

選考プロセスの公平性

 選考プロセスは、能力と経験を公平に評価する必要があります。これには、面接の環境を障害者が利用しやすいものにする、または実際に体験の機会を提供するなどの配慮が含まれます。

採用担当者の障がいに対する知識

 採用担当者は、障がいの理解を深めるための研修などを受けるべきです。これにより、公平な評価を行うことが可能になります。一般的な企業では、「一般雇用」と「障害者雇用」の担当者が別れていることがありますが、本質的ではないと考えています。理由は、人材を採用する判断が「人手不足の解消」ではなく、「障害者雇用をする」という目的破綻が起こるからです。「専門的な支援が必要だから分ける必要がある」という考えは十分にわかるものの、担当者が人材採用の目的を理解したうえで、手段の1つとして障害者雇用を行うことを十分に認識する必要があります。

 これらの措置により、企業は障害者に対する公平な雇用の機会を提供することができます。これは、組織のダイバーシティと包括性を高め、中長期的に競合優位性に繋がっていくと理解しています。


投稿者のご紹介

合同会社ReDef・代表社員
兼松勝之介

 医療系国家資格である理学療法士を取得後、大手医療機関でリハビリテーション業務に従事。中途障害者の社会復帰を支援する地域資源に課題を感じ、合同会社ReDefを設立。全国20箇所以上の障害福祉サービス事業の開業・運営監修を経験し、現在は障害者と企業の業務連携促進事業を通じて、企業の本質的な障害者雇用を支援する。