ReDef

障害者のインクルージョンのための職場でのアクションプラン

 障害者のインクルージョンを実現するためには、当然ですが、会社内で具体的にアクションを行う必要があります。以下はその一例です。

政策の作成と社内共有

 障害者のインクルージョンを推進するためには、部分的な部門のみが遂行しても意味がありません。障害者を雇用することで組織に生まれる独創的な文化は、組織全体に構築する必要があります。(残念ながら、昨今では組織の限定的な部署に障害者を配属させる風潮が一般的になっています。)本来のインクルージョンを実現するためには、政策を全社員向けに打ち出す必要があります。これには障害者の雇用促進、職場での公平な扱い、および職場環境のアクセシビリティ向上などが含まれます。

教育とトレーニング

 すべての従業員に対して障害者に対する理解を深める教育やトレーニングを提供します。これは障がいの種類、障害者の能力、障害者に対する配慮などについての情報を基礎とします。

コミュニケーションの改善

 すべての従業員が情報を得ることができ、意見を自由に表現できるように、コミュニケーションの方法とツールを改善します。テクノロジーの発展から、手段は想像以上に用意されています。重要なのは、迎え入れる個々の障害者にとって、どのような環境か判断することです。例えば、視覚情報の入力に配慮が必要な障害者であれば、情報を視認するツールが必要になります。また、周辺環境に敏感な障害者であれば、集中しやすい空間での業務遂行を依頼することで指示系統が円滑になります。まずは、個々の障害者に向き合うことが重要です。

障害者のキャリア発展のサポート

 障害者がキャリアを発展させるためのサポートを提供します。ただし勘違いしてはいけないのは、「障害者専用のキャリアサポート」ではなく、「公平なキャリアサポート」ということです。まずは、自社内のキャリア発展のプランニングを定めることから始めます。そして、その内容が障がいをお持ちの方にとっても公平に提供できるものであるか考える必要があります。仮に不公平性がある場合は、サポートプランの課題点になります。恐らく、障がいの有無に関わらず、普段の運用からエラーが発生しているはずです。このように障害者向けの政策を行うことで、自社制度の課題に能動的に気がつくことができることは、インクルージョンの付加価値と考えられます。

 以上のようなアクションプランを通じて、企業は障害者のインクルージョンを促進し、より生産的で公平な職場を創造することができます。


投稿者のご紹介

合同会社ReDef・代表社員
兼松勝之介

 医療系国家資格である理学療法士を取得後、大手医療機関でリハビリテーション業務に従事。中途障害者の社会復帰を支援する地域資源に課題を感じ、合同会社ReDefを設立。全国20箇所以上の障害福祉サービス事業の開業・運営監修を経験し、現在は障害者と企業の業務連携促進事業を通じて、企業の本質的な障害者雇用を支援する。